第２回目は、チーフ・フォトグラファーのカズが担当します。
昨夏Kaz Photographyを会社として立ち上げましたが、それ以前はフリーカメラマンとしてイングランドのプレミアリーグを中心にチャンピオンズリーグなどの欧州サッカーとそこで活躍する日本人選手を追っていました。
プレミアリーグの優勝争いや、チャンピオンズリーグの決勝などの名場面を撮影するたびに選手たちの素晴らしいプレイやスタジアム、そして自分たちのクラブを必死になって応援する人たちに驚き、感動してきました。しかし、その感動は、振り返ってみれば他人事だったように思います。
私が生まれて育った岐阜にFC岐阜というサッカーチームが誕生したのは知っていました。
それが県リーグからスタートして、あれよあれよと言う間に東海リーグから全国社会人大会を勝ち抜き、昨年ついにJFLに参戦。そして２月のある日、新聞の記事でジェネラル・マネジャー（GM)に広島サンフレッチェで顧問をされていた今西和男氏が就任したことを知りました。
２０００年のアジアカップ取材にロンドンからモスクワ経由で向かった私は、モスクワの空港で今西氏と偶然出会いました。今西氏は、当時サンフレッチェの総監督としてロシア人監督の獲得にロシアにやってきたのでした。今西氏もまたアジアカップに向かう途中。フライトを待つ数時間空港で日本サッカーについて熱い談義をかわしました。
人生は不思議なものです。数年後、その今西氏が私の生まれ故郷の岐阜のサッカーチームのGMになる。また名古屋グランパスに在籍し、日本代表でも活躍した森山泰行選手もFC岐阜でプレイしている。彼がスロベニアのFCゴリツァというチームに在籍した１９９８-９９シーズン現地に飛んで取材したこともあります。
不思議な縁を感じて、昨年今西氏を訪ねて「FC岐阜のために何かお手伝いできないか」と申し出ました。それが縁で今シーズン、Kaz PhotographyがJ2に上がったFC岐阜のオフィシャル・フォトとして影ながらお手伝いさせていただいています。
”おらが街にプロのサッカークラブが出来る”サッカーに関わる者にとってそれは夢の世界でした。
今シーズン３試合目、アウェーの山形戦。FC岐阜はJ２初参戦ながら山形を相手に５対３と圧勝。プロ初勝利。試合後、遠く岐阜から駆けつけた応援団に挨拶した主将、小峯選手のガッツポーズをカメラに捕らえた瞬間。私の心のどこかから、じわっと感動が湧き上がってきました。胸キュン状態。でも、ワールドカップ決勝やチャンピオンズリーグ決勝でも味わったことのない、別の感動でした。今まで、こんな感動は味わったことがない。
そうだ、これだ！ これがサッカーの母国、イングランドでおらが街のクラブが勝ったときにサポーターが味わう勝利の感動なのだ、と。そのとき私は誓ったのです。Kaz Photographyは今シーズンFC岐阜全ての試合を撮影しよう、と。
おらがチームの勝利の感動を皆さんに知ってもらいたい。この感動はお金では買えません。
直接スタジアムに来て、その感動を味わってもらいたい。Kaz Photographyはその感動をより多くの人に写真でお伝えしたいです。
